タラソセラピーという語は、ギリシャ語の"THALASSO"(海)と"THERAPUEIN"(治療)という語からの造語で、1869年にフランス人医師ラ・ボナディエールによって命名されました。治療を目的に海水、海藻景観、温度と海洋性気候を活かしたケアを意味します。言葉こそまだ新しいですが、タラソセラピー"海洋療法"の起源は2500 年以上前にさかのぼります。人間の入浴の歴史と重なり、バビロニア王朝時代より水浴は日常的なものでした。その後、宗教的みそぎの場、衛生目的、医学的治療へと変化をとげます。紀元前480年にはエウリピテスが「海は全ての人間の病気を治療する」という言葉を残しています。
また、紀元前420年にはプラトやヒポクラテスが温海水浴を提唱し、ローマ人は海泥浴を開発しました。ローマ帝国の衰退とともに流行の去ったタラソセラピーが再び注目されたのは、1578年アンリ3世が海水で皮膚病を治療してからのことです。そして、医師たちが治療の効果を科学的に証明するとともに、1899年にフランス人医師のルイ.バゴによりロスコフに最初のタラソセラピーセンターが建てられました。その後、歳月を経てタラソセラピーセンターはフランスの沿岸地域に沿ってゆっくりと広がっていきました。現在フランス国内にある約50のタラソセラピーセンターの中でも"キベロン""ロスコフ""グランビル"はリウマチ、関節炎、腰痛、骨折や捻挫の後遺症の治療やリハビリテーションの研究を薦めた所として知られています。
この時点でのタラソセラピーは、医師の指導のもと医学的に処方されたものでしたが、現在では"海水"というグローバルな視点に基づき、さらに進化したものに形を変えつつあります。例えば、美容、リラクゼーション、フィットネス、ストレス解消、痩身施術等は、現代社会において欠かせないものです。現在多くのセンターではタラソセラピーの他にもアロマセラピーや食事療法といった予防的治療を組み合わせ、治療ではなく病気などを予防心身共に健康に過ごせるよう取り組んでいます。
タラソセラピーの効果は一時的なものではありません。8日間のタラソケアの効果は、6~8ヶ月間持続するとも言われています。